T-ARAのメンバーって、結局何人なんだろう。6人でデビューして、7人になり、9人になり、そこから減っていって……と数えているうちに、自分でもよく分からなくなった時期がありました。今回は「家族の人数を数えるのをやめた」ら、逆にくっきり見えてきたものの話を書いてみます。

そもそも「T-ARAの人数」はなぜ分かりにくいのか

T-ARAは2009年に6人組としてデビューしました。ウンジョン、ヒョミン、ジヨン、ボラム、ソヨン、キュリという顔ぶれです。ここからが、日本のファンにとっては迷宮の入り口でした。

2009年後半にファヨンが加入して7人に。2010年にはボラムが脱退して6人に戻る。2011年にはファヨンが脱退し、代わりにファヨンと同名の「ファヨン(リュ・ファヨン)」が加入して7人に。この時点で「ファヨンが2人いる」という混乱が発生します。

2012年にはダニが加入して8人、翌2013年にイ・アリムが加わって9人体制に。そして2017年、ボラムとソヨンの脱退により6人に。2018年にはソヨンが復帰するも、その後メンバーは4人になり、事実上の活動休止状態へ。数字だけを追うと、6→7→6→7→8→9→6→4と、まるでカオスです。

この変動の多さが、「T-ARAのメンバーは何人?」という質問に即答できない理由です。ネットで検索しても、記事によって書いてある人数が違う。それは記事が間違っているのではなく、どの時点を切り取るかで答えが変わるからなんですね。

「正式メンバー」の定義があいまい問題

さらに厄介なのが、「正式メンバー」の定義です。韓国アイドルは加入・脱退が日本のグループより流動的で、加入前の練習生期間や、脱退後の扱いもグループごとに違います。T-ARAの場合、加入が発表されてから実際にステージに立つまでにタイムラグがあったメンバーもいて、「いつからカウントするか」でまた人数が変わってしまいます。

数えるのをやめた瞬間、見えたもの

ある日、ふと気づいたんです。SNSで「T-ARAは何人?」と聞かれて、自分が「えーっと、最盛期は9人だけど、今は……」と説明していることに。その説明自体が、もう答えになっていました。

つまり、T-ARAは「固定された人数のグループ」として捉えることを、そもそもやめていたんです。彼女たちは人数が変わることが前提のグループで、その時々の「今」を生きている。だから「何人?」という問いには、「どの時代?」と返すのが一番正確なんですよね。

この視点に立つと、逆説的ですが、むしろメンバー一人ひとりがくっきり見えてきます。9人時代のあの曲は誰がセンターだったか、6人時代のこの曲は誰の声が際立っていたか。人数という枠を外した瞬間、記憶が「集合写真」から「個人のポートレート」に変わっていく感覚がありました。

「家族」という言葉に引っかかっていた理由

ファンの間では、T-ARAを「家族」と呼ぶことがあります。でも、加入と脱退を繰り返すグループを「家族」と呼ぶのは、少し違和感がある人もいるかもしれません。実際、脱退したメンバーをどう扱うかをめぐって、ファン同士で意見が割れた時期もありました。

ただ、今になって思うのは、「家族」という言葉は人数を固定するためのものではなかったということです。むしろ、時代ごとに顔ぶれが変わっても、それぞれの時期にそこにいた人たちの関係性を指す言葉だったんだなと。数えられないから家族じゃない、のではなく、数えられないことこそが、そのグループの性質だったわけです。

具体的なエピソード:「9人」と「6人」のライブの記憶

はっきり覚えているのは、9人体制だった頃のステージと、その後の6人体制のステージを、別々の時期に映像で追ったときのことです。

9人のときは、とにかく情報量が多い。誰がどこにいて、誰がどのパートを歌っているかを追うだけで精一杯でした。一方、6人になった後のステージは、一人ひとりの動きがよく見える。同じ曲でも、歌割りが変わっているから、どのメンバーがどの部分を担っているかが手に取るように分かる。人数が減ったことで、逆に「このグループはこういう構造なんだ」という輪郭が見えてきた瞬間でした。

これは決して「減った方が良かった」という話ではありません。ただ、人数の多さに目を奪われていたときには見えなかったものが、人数を数えるのをやめた途端に、くっきり浮かび上がってきた。その体験が、この記事のタイトルにつながっています。

メンバーごとの「現在地」を追う楽しさ

今は、グループとしての人数よりも、メンバー個人の活動を追う方が楽しいと感じています。ウンジョンは女優として活躍し、ヒョミンはソロ活動を経て結婚。キュリも俳優業に軸足を移しています。ジヨンは中国で活動し、ソヨンはソロアーティストとしての道を歩んでいる。

こうして一人ひとりの現在地を並べてみると、T-ARAというグループが「通過した場所」ではなく、「それぞれの出発点」だったんだなと分かります。人数を数えるという行為は、実はこの「個人の物語」をぼやけさせていたのかもしれません。

ファンとしてどう向き合うか

ここからは、僕自身がたどり着いた、T-ARAとの付き合い方です。

第一に、「何人?」と聞かれたら、「時代によって6人から9人まで変わるよ」と答えるようにしています。無理に一つの数字にまとめようとしない。これが一番誠実だし、相手にも伝わりやすい。

第二に、曲を聴くときは「いつ頃の誰がいるバージョンか」を意識するようにしました。同じ曲でも、時期によって歌割りが違う。それを聴き比べるのが、今では一番の楽しみになっています。

第三に、脱退したメンバーのことも、なかったことにしない。ファヨンもボラムもアリムも、それぞれの時期にT-ARAを作った一人です。数を数えるのをやめたからこそ、そういう見方ができるようになりました。

新しくファンになった人へ

もし最近T-ARAを知って、「メンバーがよく分からない」と戸惑っているなら、安心してください。それはあなたが勉強不足なのではなく、グループの性質そのものです。

おすすめは、まず一曲を深く聴くこと。そして、その曲の時代に誰がいたかを調べることです。最初から全員を把握しようとしなくていい。むしろ、一人ずつ「この人はこの時期にこういう役割だったんだ」と拾っていく方が、記憶に残ります。

これから先、T-ARAをどう見ていくか

グループとしての完全な再始動は、現実的には簡単ではないでしょう。メンバーはそれぞれの道を歩んでいて、所属も活動拠点も違います。でも、それでいいのだと思います。

T-ARAは「人数が確定したグループ」として完成する必要はありません。むしろ、時代ごとに姿を変えながら、それぞれのメンバーが今もどこかで生きている。その事実だけで、ファンとしては十分に嬉しい。

これから先、もし「T-ARAは何人?」と聞かれたら、こう答えようと思っています。「数えられないくらい、いろんな時代があるよ」と。そして、その一つひとつの時代に、ちゃんと名前と顔がある。人数を数えるのをやめた日から、僕にとってのT-ARAは、もっと立体的で、もっと身近な存在になりました。

新曲が出るたび、誰かの近況を耳にするたび、また一人ずつ「今」を確認する。そういう付き合い方が、このグループにはちょうどいいんだと思います。